2-8 計画当初の目的と現時点までの変化

フェニックス計画については、当時の目的である「最終処分場確保」と、「跡地利用」、「処分場としての環境保全」は盛り込まれた。 しかし法律制定から40年が経過し、当初には想定していなかった状況変化が起こっている。フェニックス法は制定より改正がされておらず、現時点で十分に対応しきれているとはいえない。法律の見直しの提案もなされたが、現時点では運用で対応されている。 1.バブル崩壊による土地価格下落 2.有害物管理強化に伴う跡地開発の制約 3.ごみ減量が進む中での処分場経営 4.持続可能社会に向けた重要インフラとしての貢献  1,2に関しては、港湾部局にとってのメリットが小さくなっており、第3期計画で、港湾予算を使った護岸整備ではなく、廃棄物処理費用で護岸工事もまかなう形に修正がされている。  ただし廃棄物処理に関しても、3のように最終処分量の減少が続いており、収入が限られる状況となっており、会計面での持続的運営については、大きな課題として残っている。 4については受け身的にごみ削減の影響を受けている形であり、前向きに持続可能社会の構築に貢献しているとは言い難い。  最終処分場自体で環境汚染を最適化するのではなく、中間処理や輸送、さらには製造・サービス提供まで含めて、近畿全体での環境負荷を減らす設計を行う必要がでてきている。「拡大生産者責任」など法整備も進んでいるが、統合的に計画が作られているわけではない。  大阪湾フェニックスセンターも、近畿自治体が関与する運営ということで、公共的視点での運用が可能ではあるが、構成市町村にとってごみ処理の下請け的側面が強く、協力して社会的ありかたを考える視点に乏しい状況となっている。  社会が循環型社会を目指す方向に舵を切って久しいが、それ以前の視点で整備されたフェニックス法の下で運営が続けられている状況であり、再検討が必要である。

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