5-1 迅速分析システム

1985年6月11日の大阪湾フェニックスセンターの回答では、「科学的な分析体制を確立すること」とする申入れに対し、「廃棄物の化学分析ができる限り迅速に行えるようにする。」と回答している。  また厚生省の1985年12月11日の回答では「(中略)加古川、津名、和歌山の各積出基地は規模が小さいため、実施段階までにほかの基地と同様なチェックが可能な方法について検討する。」としている。  こうした中で、ほかでは例をみない移動車両の中に分析装置を組み込み、積出基地を回ってその場でサンプリング・分析ができる「迅速分析システム」の車両がつくられた。

迅速分析システム(パンフレット)

迅速分析システム表 迅速分析システムパンフレット中 ※クリックするとPDF(スキャンしたもの)が表示されます。

現状

 環境保全の視点では画期的なシステムであったが、車両維持費が高く、車検更新にあわせて廃止され、サンプルを分析施設に運び込んで分析する方法にとって代わられた。  現実的には、車両の中でできる分析は簡易な方法によるスクリーニングであり、サンプルを試験機関で分析を行うのが正式な方法になる。化学分析をするという観点では、不足する部分も少なくないが、こうした分析車が、各積み出し基地に予告なく配置され、サンプリングが行われるという体制は、搬入者にとっては不正ができないことを自覚する大きなメッセージであった。契約手続きなどもしっかりしているほか、一度展開してからの積み込みもされることから、不適正な搬入を試みる事業者はなかった。  ただし一般的に処分場では、持ち込まれる廃棄物が適正かどうか大きな問題となる例も多く、事前に検査することは有効である。同じしくみを広めようとするものではないが、先進的な事例として参考とされるべきである。

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